ガン日記 調理開始編その1
前髪もちゃんと隠して調理開始だ。
K園は一般住宅をリフォームして保育園にしている。 キッチンは普通のお家の台所だ。カウンターキッチン。ガスコンロは3口だが調理台がない。その代わりシンクが2つに分かれて並んである。2つに分けちゃってるので1つ1つが小さめの正方形で、フライパンを洗うのがやっとの大きさだ。使い勝手がいいのかどうかまだよくわからない。
シンクの上が窓になっており出窓程ではないが物を置くスペースがある。そこにまな板、食器用洗剤を置いている。検食用の袋もそこに置いておく。¨原材料¨と¨済¨を並べてね。
さてと冷蔵庫から野菜を出して、、と、
S女史「アイサカさーん、手は洗いましたかぁ?」
くに「あ、はい。さっき洗いました。」
S女史「爪ブラシは使いましたか??」
使ってないー。洗い直し。またダメだしだぁ。
洗った手はペーパータオルで拭く。使い捨てだ。
やっと野菜を取り出す。 そして野菜包丁は文化包丁、、、切れにゃーい。歯がボロボロだ。管理栄養士さんがいるのになんでーー。
人参を切る。 「1cmくらいのさいの目に切ってください!」あいよーっと、ガシガシ切る。あ、皮はピーラーで剥く。ヘタの部分1cmほどを検食・原材料袋に入れる。
本日は全ての野菜は1cmのさいの目切りです。
おっと、まな板から野菜が落ちた。拾おうとすると、「アイサカさーん、床に落ちたものは拾わないでください!」とのこと。手が汚染されるのだ。ほほぅ。
全ての野菜を切り、そして全ての野菜の切れ端を検食袋に入れ、肉処理に入る。包丁もまな板も肉用だ。肉は冷凍して納品される。電子レンジでかるく解凍してから切るのだが、肉用包丁が変わっている。歯が反っているのだ。まるでアラブの剣だ。切りにく〜い。肉ももちろん検食に入れる。そして細かく切る。ロース肉スライスだったが、細かく切っちゃう。炒めたら挽肉とおなじじゃね?ってくらい。
お味噌汁と主菜の調理に入る。
野菜と肉切りで右手のパワーはかなり減っている。
だが休んでる暇はない。次々と作業指示が飛んでくるのだ!
子供15人分の炒め物をする。フライパンにどっさりの具材。テキパキ炒めないと焦げちゃうよん。右手のパワーがどんどん減っていく。あ¨ーー。
お味噌汁を作る。これは普通だ。
サラダを作る。トマトときゅうりとワカメ。全部煮る。
トマトもきゅうりも煮るのだ!!煮沸消毒。ぐぇ。
ドレッシングも作る。出来合いのものは添加物やらアレルゲンになりそな物が入っているため子供に提供しない。
サラダオイルにお酢を垂らし、、
S女史「素早くよくかき混ぜてください!これを乳化といいますっ」
ははぁー、そーでございますかー。
♫ピラララ、ラララ〜♫
ご飯が炊けました。
ご飯をほぐす。あちょ、米粒が指ついてしまった。思わず口に運ぶ、、
「アイサカさーん、手は口に持ってかないでくださいっ!」
ひょえーん。
この日、何度ダメだしされたことか、、、
だが、時間内で料理はできた。指示のもとだが、ほぼ私が調理した。
11:00、調理1時間だ。はやっ。
「一階と二階の保育士さんにご飯の準備ができたと伝えてきてくださいっ」
あーい。
その間にS女史は赤ちゃん組用のピンク椅子を準備する。
一階には料理をお盆で運ぶのだが、汚染されないように、タッパーに入れたり鍋に直接ラップをして持っていく。その時、食器と食後の麦茶用コップ、もちろん麦茶も運ぶ。
給食室にヨチヨチと1歳児達が入ってくる。ピンク椅子は組み立てるとテーブル付き椅子になる仕組みだ。子供達をピンク椅子に座らせ、各自持参したタオルで手を拭く。スタイも各自のものを付ける。準備完了。
保育士さん「では、ご飯の歌をうたいましょー」
♫ごはんだ、ごはんだ、うれしいな。なんでも食べましょ、よくかんで。みーんなそろってごあいさつ♫
「お手てパッチン。みなさまごいっしょに、いただきまーす」
で、食べ始める。
S女史「アイサカさん、子供達がどのくらいのお口でどう食べるのか見てくださいね。調理の参考になりますから」
あーーい。
スプーンを使える子は自力で食べるが、まだ使えない子には食事介助をする。食べさせてあげるのだ。スプーンもちっちゃい。ティースプーン程だ。お口もちっちゃい。あーんと大きな口を開けてくれる子もいるが、スプーンの先しか入らない程のお口しか開かない子もいる。
「はい、お口あーーん」と話しかけても、ぼーっと遠くを見つめている子もいる。そんな時はスプーンでくちびるをチョンチョンとつつく。反応でお口をあーーんと開ける。、、、老人介護と一緒だ。実はホームヘルパー2級を取得している私。特別養護老人ホームでの研修の経験もある。ただ、介護士として働いたことはない。何かの役に立てばと思い勉強しただけだ。今回、それが少しは役に立った。
給食の時間が終わり、後片付けに入る。
子供の食器は小さいとはいえ15人分だ。結構な量。ワッシャワシャと洗って、シンク横のエレクターにタオルを敷いた棚に置いていく。
「アイサカさん、洗い物は速い気がします!」
あー、¨洗い物は¨ねー。ほーですか。。
ピンク椅子や、テーブルをピューラックスで浸した台布巾で丁寧に拭く。食べこぼしは床に落とす。床掃除の時に片付けるのだ。床をホウキとチリトリで掃除し、ピューラックスで浸した雑巾で床全面を拭きあげる。
「あうーっ、腰が痛いー」
「アイサカさん、腰が弱いんですかっ?」
「えぇ、昔スキーで腰を痛めてましてね、、、」と言っとく。
S女史「では、日常点検表に、今日の検食とメニューを書いて下さいっ!」
はーーい。
、、右手のパワーは赤点滅している。中指と薬指の手の甲側の筋肉がつってボールペンが握れない、、
「あうっ、手がーー」
S女史「そこもですかっ!」
なんとか書き終え、午前の部終了。12:30。